みめいが服を着る

服を着たりなにか食べたり何か見に行ったり読んだり書いたりします

パーソナルカラーおよび骨格診断体験記

※こちらは1/29開催のイベント「ライフエンジン文化祭 Cirquit Circus!」で無料配布したエッセイの再録となっています。

 

 友人の手を借りて着る服のテイストをガラッと変えてから3年が経過しました。

(この件については旧ブログ記事

何を着たいのかわからなかった自分を新宿のZARAに置いてきた話 - かくりよ書房夜明け分館

参照)

 3年経って何が起きたかというと、再び着る服に関して迷子になってたんですね。おかしいな……どうして……。

 

 原因は諸々あるんですが大きいと思われるものがふたつ。

 一つ目、「疲れる服」(重い、苦しい、触り心地が嫌、寒いもしくは暑い)を一切着られなくなったこと。一度大きく体調を崩し、服装やスキンケア、メイクに気を遣えない時期がしばらく続きました。そこからはストレスを感じない服を延々リピートで着続けることになり、見た目は二の次三の次になっていました。

 二つ目、プライベートで外に出る機会が壊滅的に失われたこと。昨今の情勢と仕事のペースが相まって、仕事着と部屋着以外を手に入れる必要性がほぼ失われました。

 メイクや服に関して情報収集を行うこともほぼなくなり、なんとなく自分の輪郭が消滅したような感覚のまま淡々と日々を送っていました。楽ではありましたが楽しくはありませんでした。

 

 今冬は諸般の事情できちんとした休みを取れないまま二十日間ほどぶっ通しで働き続けていました。馬鹿野郎。反省しています。

 私の場合、連勤のストレスはある日突然バカ高い買い物をするという形で表面化することが多いようです(よい子は真似しちゃダメだぜ)。Nintendo Switchもそうした経緯でうちにやってきました。

 今回は身なりに金を掛けたいという欲が突然爆発しました。しかし、とブレーキを踏んできたのが「結局また似合うものよく分からなくなってない?」という自分の声。今、この状態で、通販で服とか爆買いしても事故を起こすだけではないか。そもそもこのあいだお店で試着して買ったはずの服でも外してただろう私。服飾に関する自分の目のようなものが完全に衰えているような気がする今、自己判断で何かすべきではないのでは。

 

 ……プロに、頼るべきでは……?

 近隣の行けそうなエリアにイメージコンサルティングのサロンが出来ていたことは知っていたため、そのままぬるっと4シーズンパーソナルカラー診断と骨格診断を予約しました。顔タイプ診断は迷って、一旦保留にしました。金額とかかる時間に日和りました。近いうちに受けたいな……。

 

 これを読んでくださっている方はだいたいご存じなんじゃないかと思いますが、念のため受けた診断について簡単に触れておきます。素人の聞きかじりの知識です。細部の誤りは暖かく受け流していただければ幸いです。

 

 まず4シーズンパーソナルカラー診断。髪、瞳、肌等から、その人に似合う色を診断するというものです。似合う色のグループは四つあり、季節の名前が付けられています。体のパーツの色が黄みがかっているイエローベース(金色のアクセサリーがよく映えるそうです)と、青みがかっているブルーベース(こちらは銀色がよく似合うとか)にまず二つ、大きく分けられます。そこから、今度は明度・彩度の高低でどちらが似合うかによってさらに二分。イエローベースの人は春もしくは秋、ブルーベースの人は夏もしくは冬のいずれかにタイプが決められます。サロンの先生からは、春の人は花壇のチューリップの色、秋の人は紅葉した葉の色、夏の人は紫陽花の色、冬の人は人工的なインク、ネオンの色が似合うという説明を受けました。ちなみに、日焼けしてもパーソナルカラーが変化することはありません。

 続いて骨格診断。こちらは骨の形や筋肉のつき方によって、体に厚みがあってウェストの位置が高いストレート、骨格がしっかりしているナチュラル、体のラインに曲線が多いウェーブの3タイプに分けられるというものです。太っても痩せても、生涯骨格タイプが変わることはないそう。

 

 さて当日。車を置くところを間違えてサロンまでの道をマラソンすることになる私。何をしているのか。さらにスマホのナビで誘導された先が建物の裏側で、目当てのマンションは見えてるのに高い塀と墓地に阻まれめちゃくちゃうろうろする私。本当に何をしているのか。

 本当にギリギリに到着しましたが先生が(バッチバチのモードな見た目とは裏腹に)めちゃくちゃ優しかったので泣いちゃうかと思いました……。

 

 まず自分の現状についてカルテのようなものを記入。服装に関する悩みのところには「似合う服、色が分からない」「年齢より幼く見られがち」と書いてみましたが、優しく受け止めていただけて救われました。

(年齢より幼く見られる、というのは年々加速しており、「老けて見られるよりいいのでは?」と言われますが個人的には何とかしたい部分です。成人してから何年経ったか分からないのに呉服屋の店員さんに「お姉さん成人式いつ?!」と呼び止められた時は倒れるかと思いました。服がカジュアル寄りなのとメイクをサボりすぎているからだとこの時点では思っていた)

 

 最初に受けたのは骨格診断。セーターを脱いで、ヒートテックと、お借りしたハーフパンツで鏡の前に立って診断していただくことになります。窓際の明るい空間で、「あ、本当に太陽光の下で見るんだな……」になる私。

 そして、当たり前なんですけど、スゲー見られる(©もやしもん)。骨格とか筋肉のつき方とか体のラインを触診と視診で確認していくのですが、本当に、スゲー見られる。覚悟がなかったので視線の置き所が定まらず、ずっと斜め下を見ていました。

 先生曰く、骨がしっかりしており筋肉も実はちゃんと乗っていて、体のパーツに曲線があまりない、とのこと。一つ特徴を診断するたびに「ウェーブではないですね」「この特徴はストレートかナチュラルです」とものすごく周到にウェーブを外されて笑ってしまう私(いろんな人に今まで体が薄い薄いと言われ続けたので自分では「ウェーブか?」と思っていた。しかしウェーブの人が似合う服は微妙に似合わない。あれれ~?)。

 

 次いで、体にいろいろな素材、シルエットの服やアクセサリーを当てながら似合うものを探していく。ツヤツヤした素材のジャケットは普通に似合う。ふーん、と思っていたのですが、織の入ったジャケットを着ると卒入園式のお母さん感が爆発するし、粗い素材のジャケットは安っぽく見える。スカート、パンツも布面積が大きく重みがあるものとタイトスカートは似合うのですが、ひらひらふわふわした柔らかい、軽い素材を着ると「……なんか、頑張ってる感出ちゃいますね(先生談)」になる。似合わないのに無理して着てる感は自分でもよく分かりました。布の印象の強さと「頑張ってる、無理してる感」って比例しないんだ!? という驚きがありました。服の試着で違う素材・丈を見比べたことがなかったので、印象の変わり方がめちゃくちゃ面白かったです。

 

 服の次はアクセサリー。自分にはネックレスが似合わない(というか、付けても何も起きない)という認識でいたのですが、ここで勘違いが判明。

 ネックレスが似合わないんじゃなくて細いネックレスが似合わなかったんですね。

 華奢なチェーンを首から下げると例によって微妙だったのですが、パール⇒極太パール⇒めちゃくちゃ長いパール⇒めちゃくちゃ長いパール2連、と重さ長さを増すごとにどんどん似合っていく。最終的に先生が「うちのサロンには海蛇がいるんですよ」と笑顔で出してきたのが、赤ちゃんの小指くらいの太さがあるパイプ状のビーズと太い鎖がジャラジャラと面状に連なるネックレス。なるほど鱗に似てる、海蛇ですね、えっ、それ首から下げるんですか? ネックレスなんですか? 本当に? 鎧とかじゃなくて? と目を白黒させる私の首に情け容赦なく巻き付けられる海蛇(仮)。

 似合ってるかどうかはわかりませんが変ではないことだけが分かる。

「このネックレスに耐えられる骨格タイプは一つしかないんですよ~」と笑顔を深くする先生。何その絶対強者みたいな言われ方……面白すぎるじゃん……。

 最後にベルトを使って似合うウェスト位置を確認して、骨格診断は終了。ハイウェストは苦しそうな印象になってしまう(表情はそのままなのにね……服の印象ってすごいね……)のですが、ジャストウェストとローウェストはほとんど印象に差がないね、ということを確認して、結果発表、となりました。

 

 結果、私の骨格タイプはナチュラルだと判明しました。

 ただし、特徴としては骨格ストレートとのミックス(下半身は骨格ストレート)。ナチュラルタイプには結構ミックスの人がいるらしいです。

 ミックスになった結果何が起きたかというと、私の場合、純ナチュラルの人が似合う天然素材とかざっくりした織りの服が全然似合わないのです。エスニックな雑貨屋兼服屋で売ってる服を着ると壊滅的に野暮ったくなったり、服がやたら安っぽく見えたりするのそのせいか……!! と納得が生える。素材に関しては、骨格ストレートの人が似合うようなツヤ、ハリ、厚みのあるものを選ぶとしっくりくるとのこと。ボトムスのウェストはローかジャスト、アクセサリーは重さと長さ重視で、重心を下に下げるとカッコいい。黒いロング丈のテーラードジャケット、もしくはサテンのワイドパンツのどちらかさえ組み合わせに入れていれば大勝利していた理由が明らかになりました。アクセに関しては今まで持ってたやつ全滅じゃねえか……楽しくなってきたぜ……。

 

 続いてカラードレープ(色んな色とか質感の布ですね)を使った4シーズンカラー診断。窓に向かって座って太陽光の下で顔周りに布を当てつつパーソナルカラーを見ます。似合わない色の布を当てると「布にしか目が行かない」「顔がくすむ」「印象がぼやける」みたいな事象が起きます。

 最初は金色と銀色の布を当てました。金色の布を当てると本当に布にしか目が行かなくなり、銀色の布はちゃんと顔と馴染む。ゴールドのイヤリングとかネックレスとかをつけるとそこだけ異様に悪目立ちするのそういうことか……とふたたび納得が生えます。

 金銀、の次は赤~薄ピンクがグラデーションしてる(そして上下で布のツヤが違う。半分は光沢があり、もう半分はくすんだ質感)布をスライドさせながら顔に当てていきました。

 今までずっと自分はブルべ夏の、しかもちょっとくすんだ淡い色が似合うと思って生きてきたのですが、ここで先生から「淡い色だとお顔が弱く見えますね」という衝撃の一言が出る。

 ドレープを裏返して、ツヤのあるビビッドなピンクを当てるのと、薄布一枚隔てたみたいな淡いピンクを当てるのを短時間で比較すると差がかなりはっきり分かりました。くすみカラー、似合ってないわけじゃないんですけど「印象がぼやける」ってこういうことか……!? という、存在感の後退みたいなものを感じる……。そしてツヤのある面を当てると「これが普段着ですけど何か」みたいな、しっくり馴染み過ぎて似合う似合わないみたいな話がどこかに飛んでいく。

 私の今までの色選び、何だったんだろう……と思っていると、先生が「印象のコントロールっていう面では、河野さんが今まで選ばれてたお色も正解ですね」と。「お子さんと接するお仕事なら、強さが出すぎない方がお子さんも委縮しないし、親御さんも安心するんじゃないですか?」

 私は普段子供と接する機会が多い仕事をしているのですが、そこでは「落ち着いていて何でも相談できて関わっていると安心する」みたいな印象を(実際本人の人柄がどうかは別として)出した方が上手くいくので、無意識にそっちへ自分を寄せていこうとした結果もあっての自己診断ブルべ夏。使う色もくすんで柔らかいものが多く、結果として優しそうなんだけど、ちょっと頼りなかったり、幼く見えたりするのではないか、と言っていただき、自分のことなのに言われて初めて腑に落ちました。なるほど……!?

 

 そこからはイエローベース、ブルーベースの各色を顔に当てながら最終的なシーズンを決めていくことに。自分が服屋さんで試着するものも色味が偏りがちなので、あれだけ沢山の色が顔周りに当てられることは普段ありません。同じ色でも印象が激変するものもあれば、差がぶっちゃけ分かりきらなかったものもあり(黄色はだいたい苦手だった)、すごく貴重で楽しい時間でした。

 順次当てていった印象。イエベ春の色は布だけが悪目立ちし、イエベ秋の色を見ると逆に顔が老け込んだり地味な印象になったりする。ブルベ夏の色は似合わないわけじゃないんだけど、一歩引いた、よく言えば控えめで優しげな、悪く言えばちょっと頼りなさそうな、幼い感じの印象になる。ブルベ冬の色は顔立ちがはっきりするし、何よりなんでこんなに馴染むのかわからないくらい馴染む。

 ということで、ツヤがあって鮮やかなブルーベース冬の色が私のパーソナルカラーになりました。

 個人的に二番目くらいに「ない」と思ってたシーズン(イエベ春が似合わないのは知ってたが……)だったので「えええ~~~~~~……?」と呆けて先生に笑われる私。似合うと思ってたくすみ色が自分の印象を弱めていたのが衝撃的すぎて……。「日本人の感覚だと、ブルべ夏の弱まった印象くらいが好感を持たれやすいんですよ」と言われてちょっと納得しました。私も日本人だということだな……。

 ちなみに他のシーズンの色も使っちゃダメなわけではなく、使い方によって相手に与える印象が激変するそうです。「この人こういう面もあるんだ!」というギャップを与えたければイエベ春の色、「その他大勢に同化したい」と思ったらイエベ秋の色を使うといいですよ、とアドバイスをいただきました。なるほど、会議で一言もしゃべりたくない日は秋を着れば……いいわけね……と早速悪用の方法を考え始めてしまう悪い大人。大人数での話し合い、苦手です。サシで意思決定させてくれ。

 

 終始明るく分かりやすくお話してくださった先生のお陰でずっと楽しいまま診断終了。

 トータルの結果は骨格ナチュラル(ストレートとのミックス)ブルべ冬、オーバーサイズでゆったりした、素材にツヤ、ハリ、厚みのある鮮やかな色のもの(困ったらとりあえずモノトーン)が似合うぞ!! という結論になりました。仕事着はこのままブルベ夏の色を使いつつ印象をキープしたいのですが、せっかくなのでオフは似合う色、形に振り切りたいと思って通販サイトを行脚しています。迷子は迷子なのですが、最終目的地が分かっているのでたのしい迷子です。ここ数年で感覚を完全に忘れていましたが、やっぱり身なりに気を遣うのは楽しいし気持ちが上を向きます。外見だけじゃなくて内面にも栄養を補給してもらったような感じです。安くない買い物でしたが受けてよかった!!